The lunatic iover 2

わざと、このタイミングで出しゃばってきたな、オーレリアンめ。

「積もる話は後にしよう。院長。」
「ええ、子供たちも待っています。今回、保険のきかない高度治療を無償で受けることができるようになった子供が、是非貴方にお礼を言いたいと言っていますから。」
「行こうか、ヴィル。僕が車椅子を押すよ、昔みたいにね。」
「…ありがとう。」
ヴィルフリートは、従者=アロイスに待つよう指示を出す。行こう、と促すオーレリアンに笑顔で頷き返し、彼らは院内に消えて行った。


ニュース向けにマスコミのカメラがまわる中、ヴィルフリートは子供たちから花束を受け取り、嬉しそうに笑っている。
「僕、お兄ちゃんのお陰で元気になることができます。本当に、ありがとうございました。」
「ううん、早く元気になって、家族に笑顔を見せてあげてください。」
「お父さんもお母さんも、私の病気が治るって喜んでた。ありがとう、お兄ちゃん。」
「じゃあ、早く病気を治して、父さんや母さんを安心させてあげないとね。元気になったら、いっぱいお手伝いしてあげるんだよ?」
心にもないセリフを、次々ポンポンと吐き出すヴィルフリート。子供たちとの触れ合いが終われば、快くマスコミへのコメントを出す。

「世界は、まだ安心して生活するには困難に満ちています。でも、僕は、この世界から笑顔を絶やしてはいけないと思うんです。だからこそ、僕は出来る限り援助をしたい。こんな身体なので、手を取り合って活動することは難しいですが、やれることがあるならやっていきたい。そう思っています。」

3時間の予定はあっという間で、午後からの予定も詰まっているため、早々に病院を後にしようと待たせている車に向かっていたが…。
「今日は愛しい君の笑顔が見れて、最高だったよ。」
耳元で、車椅子を押していたオーレリアンが小声で囁く。
「……。」
「出来れば、いつもこの調子だと嬉しいんだけどな、僕は。」
「……止まってくれ。院長、少し時間があるから、彼の研究成果が見たいんだ、自由にさせてもらっていいかな。見送りも結構ですから。」
「そうゆうことでしたら…ブリュンティエール君、後を頼みますよ。」
「ええ、院長。お任せください。」


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