Intersection 10

パン!

「…ゴホゴホ。」
男の腕の力が弱まり、崩れ落ちるように後ろに倒れる。
「まだ弱いから、お子様でよかったって思うよ。皆、ゆっくり殺そうとするからね。後悔したら?一丁しか銃を携帯してないスナイパーなんて、なかなかいないよ。」
「メア、大丈夫か?」
「…まだ平気だよ。行こう、シュワルツ。」
「早く済ませよう。」
「うん。」
シュワルツから見て、メアの怪我は深い。退却するのがベストだが、そんなことを聞き入れるはずがない。となれば、早く目標を見つけて仕事を終わらせるしか無い。裏切りは想定内だったので、救護班の手配はされている。
「メア、倒れるんじゃねーぞ!」

その頃、男は屋上に向かって大きなバッグを抱え走っていた。予定が大幅に狂わされたが、なんとか部下がしのいでいるはずだ。時間をかせがせてる間に、ヘリで逃げればいい。遠くへ!金になればそれでよかった、命までかけるつもりなどなかったのだ。浄化派の情報を売り、軍部が欲しがっていたレリウーリアの情報を売る。一石二鳥、のはずだったのだ。
「くそっ、次は、もう少し楽な相手を見つけるか。とんだ赤字になった。」
屋上へ続くドアを開ける。ここまでくれば、安心だ。
…――引き開けた先に待っていたのは、血濡れた少女。その姿を視認すると同時に、男は屋敷の方へと倒れこむ。撃ちぬかれた眉間からあふれるように血が流れ、どっと倒れこんだ巨躯が再び動き出すことはない。
「任務完了。」
小さな唇が、そう告げる。


「ったく、次から次へと、うぜーんだよ!」
メアと別れ、男達二人が倒された後、レイヴンは一人孤軍奮闘していた。数ばかり揃えられたガードマシナリーは、こちらが警備兵と交戦中でも構わず味方ごと撃ってくる。どうも、敵・味方の識別すら出来ない安物らしい。それだけに、面倒なことこの上ない。
敵兵と競り合っていたかと思えば、機械音に反応し散弾を避ける。装填時間が長いようなのでそこをついて攻撃に転じることは容易いが、壊しても壊しても湧きでてくるように現れるので、流石に辟易してきた。
「あのガキ、まだ返ってこねーし。なにやってんだ。」
木陰から躍り出ると、大振りに鎌を薙ぐ。確かな手応えと共に、ガシャリと音を立ててガードマシナリーは機能を停止する。次の一団からの斉射を、壊れた機械を踏み台に高く飛び上がりかわしたレイヴンは、木立に掴まりヒラリと体勢を変え、幹を蹴り勢いをつけ一網打尽になぎ倒す。ムダのない、しなやかな攻撃。
「……やっと片付いたか?」
「静かになったわね。」
先程まで連続して聞こえていた機械音が止んだ。レプラも、レイヴンの肩近くに寄ってくる。彼は、ふっと一息つくと前髪を掻き上げる。
「ん?まだ残ってたか??」
屋敷とは反対の方向で、銃声が聞こえた気がした。メアなら屋敷に向かったはず、まだ警備の連中で逃げ遅れた奴でもいたのだろうか。気になり音の方向に近づくと、良くしった顔の3人がガードマシナリー相手に苦戦している。
「なんでアイツらが居るんだ?」


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