Intersection 9

「この程度、俺一人で十分なんだよっ!」
素早い動きから繰り出される攻撃、レイブンの眼前に立つ者は、次々地面に平伏した。が、突如機械音と共に銃弾が雨のように3人の方へ襲いかかった。敵はガードマシナリーを起動し、混戦していた味方ごと攻撃してきたのだ。
「ぐおっ!」
篭ったような嗚咽の混じった悲鳴を上げ、味方の男達がバタバタ倒れる。音がしたと同時に反射的に飛び退いたレイヴンだけが、難を逃れる形となった。それでも、数カ所弾がかすったようで、ヒリヒリとした痛みが走る。
「潰しがいがあるじゃねーか、上等だぜ!」
大鎌を握りなおし、ニッと哂う。


「…今だ、再装填まで8秒!」
「OK!」
物陰から飛び出したメアは、ガードマシナリーが銃撃を停止した隙をつき、目の前の屋敷へ走る。ぐっとしゃがみ跳躍した足元に降り注ぐ弾雨。人間の限界を考えると少し異常な高さ、2階の張り出したテラスへと飛び込んだメア。掴んでいたシュワルツの腕を離し、サブマシンガンでガラスを叩き割ると中に侵入する。
「シュワルツ。、生体反応探して。」
「あ〜、右のほうにかたまってるな。」
「じゃあ、まだ首謀者は逃げ出してないわけね。狩りだすよ、行こう!」
「気を抜くなよ。」
一人と一匹?は、同じような部屋が続く屋敷の廊下を走る。生体反応を捉えると、シュワルツが指示し的確に目標を撃ちぬくメア。この方角に向かっているということは、事前に覚えていた見取り図を参考にすると、屋上から逃げる気かもしれない。
「急がなきゃ。」
奥の部屋へ急ぐ。ここまでお膳立てされていたのだ、裏切り者には制裁を。その生命で償わせる以外、選択肢は残されていない。
 私室にあたるであろう部屋へ入ると、シュワルツが舌打ちをする。
「チッ、この辺り、妨害入って探知が出来ねぇな。」
「じゃ、下ろすよ。自分で探す。」
「その必要は無い!。」
「?!」
反射的に飛び退くと、間髪入れず銃声が響く。背後にあった花瓶が割れるも、射撃された先を見ると、スタンドに固定されたトラップだった。

マズイ。

そう理解したのと、あの男が視界に現れ剣を振り下ろしたのはほぼ同時で、とっさに手にしていた銃で斬撃を受けたが、額と左の肩口を銃ごと斬られた。
「メアっ!」
シュワルツが叫ぶ。
「子供相手に、力で負けるわけ無いだろう?!」
2撃・3撃めを辛うじて避けたメア。額を切ったせいか、視界が悪いし左手の動きも悪い。反撃しなければ勝機もないので、腰に下げていた天鞭テレスを引き抜いた。ヒュッという音と共にしなる鞭は男を捉えたかと思えたが、仰け反りかわすと、崩れた体勢にも関わらず、取り出した変わった形状の小剣で、巻き取るようにメアから天鞭テレスを奪い取った。
「チッ。」
メアは、小さく舌打ちをする。絶対的に形勢が悪い。徐々に、壁側に追い詰められていく。
「鞭ってのは、剣より距離をとって戦えるが扱いは難しい。特に、こんな狭く物の多い場所じゃな。…もう、逃げ場なんて無いぜ?」
壁に背中が当たる。男は剣を振り下ろし、メアはその場に膝をついた。灼けるような痛みが走り、パタパタと床が紅く染まる。上半身にベットリとした感覚があるのは、斬られたからだろう。
「うぅ。」
「こんなお子様が、組織の人間とはね…いや、ただの捨て駒か。」
「ハァ・ハァ、何?子供だから、見逃してくれるの?」
「ああ。」
男が、膝を付いたメアの首を掴み吊るし上げる。
「可哀想な子どもがゆっくり死んでいくのを…楽しませてもらおうか。」
「グッ…う…。」
「危なすぎる遊びに手を出したお仕置きだ。あの世で後――。」

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