Intersection 8

アチリカ。高層ビル群が立ち並び、この辺りは崩壊を感じさせない華やかさを保っている。そんな中心部を少し離れた場所にある高級住宅街、招かれた先の館はそこにある。高い塀がめぐらされ中を窺い知ることが出来ない造りのその屋敷、インターホンを押すと男の声で反応が返る。
「招待を受けて、来てあげたよ?」
「それは…予定より1時間ほど速いようで、まだ主人の支度が整っておりませんが。」
「問題ないよ、少しなら待たせてもらうから。それに望みどうり“上”をお連れしてるの、合わせるのはソッチの方だよ。」
「…分かりました。お迎えにあがりますから、5分ほどお待ちください。」
 向こうの言語どうり、5分程度して門が開かれると、1台の車が横付けされていた。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、屋敷まで距離がありますからお乗りください。」
「歩くよ、早くに着いたんだし。」
「しかし…。」
「都合でも悪い?」
メアがニッコリと微笑む。現れた40代くらいのガッシリとした体型の男は、すこしの戸惑いをみせる。しかし、携帯でなにかやり取りをした後、結局メアの言語を了承した。屋敷までの距離は長く、「徒歩だと20分はかかる。」との男の言葉どうり、まだ建物の外観も見えない。メアは、相変わらず腕の中にシュワルツを抱え歩いていた。いつもは口うるさい彼だったが、今日は黙りこんでいた。時折、電子的な光が、紫色の瞳にチラチラと現れる。左右対称の統一された庭園には、よく手入れされた植木と季節の花々が咲き誇っていた。レンガの敷かれた道をスタスタ進むメアとレイヴン、として彼女の部下一人と屋敷の主人の部下らしき男。さした会話もないまま歩き続けていたが、沈黙を破ったのはレイヴンだった。
「…やっぱ、めんどくせえ。」
「はい?」
変な声で聞き返したのは使いの男で、メアもきょとんとした表情で彼を見上げる。
「さっきから、そこら辺の茂みがガサガサしてるじゃねーか。指示待ちとか、メンドクセーんだよ。とりあえずぶっ潰せばいいんだろ?!」
レイヴンは、ジャケットを脱ぎ捨て後ろの男から大鎌を取り上げると、素早く駆けて右手の茂みを薙ぎ払う。
「ぐあっ?!」
武装した男が倒れこむ。と、姿を隠していたレプラがレイヴンの近くに現れ叫ぶ。
「ち・チョットあんた!作戦があったでしょ?!」
「知るかよ!お前は隠れてろっ!」
「そ・総員戦闘態勢に入れっ!掃討作戦だ、フォーメーションC。ガードマシナリーの起動も急げっ!!」
「やっぱりテメェが親玉かよっ!」
振り返った先に、先程から主人の使いという立場を演じていたのであろう男が、退却しながら慌てて大声で指令を出した。スーツの下からインカムのヘッドホンを引き出し装着する。
「もう少し屋敷近くでも良かったでしょ?!」
メアが叫ぶ。
「うるせェ、待ってられるか。戦えるんだろ?!」
「接近戦は苦手だよ、仕方ないなぁ!」
男に持たせていたサブマシンガンを手にすると、メアは左側の茂みに向かい引き金を引く。
やはり、同様に悲鳴と共に男が倒れた。
「だから、ノリと勢いだけで傭兵選ぶなって言ったんだ。」
「シュワルツ、お説教なら後にしてよっ。レイヴン、私は屋敷に行くから!二人残してくし、頑張ってねっ!」
「全部倒しゃいいんだろ?」
「任せたよ、ヨロシクねー。シュワルツ、突破するからサポートして。」
腕からシュワルツを下ろしたメア。二人は屋敷の方へと疾走する。レイブンの方に残った2人の男も、そこそこはやるようだった。懐から引き抜いた銃で応戦する。荘厳な庭は、その瞬間から野戦場へと変貌し、咆哮や悲鳴、銃弾が飛び交い刃が交錯する。


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