Intersection 5

「おい、ナンなんだこの店?」
「え?普通の店だよ?好きなの食べてよ。」
そこは天然物専門に扱う高級料理店で、どう転んでも傭兵と子供の取り合わせが似合うような場所ではなかった。
しかし、メアはよく来ているようで、店員も勝手知ったる様子で奥の個室に彼らを案内する。一瞥しただけで、メニューから料理を選ぶことを放棄するレイブン。結局、2人前のシェフのお任せコースがテーブルに並べられる事になった。
「いただきます。うん、オイシイ♪」
「で、いい加減、仕事内容を言えっての。」
「あ、うん。平たく言えば、護衛みたいなものかな。」
「はぁ?言っとくけどな、俺は守備をするなんてやなこった。お前守る気なんざ、サラサラ無いね。」
「平たく言えば、の話だよ。これ。」
テーブルに、メアは招待状のようなものを差し出す。他に、地図と家の見取り図を広げた。
「気づいてるだろうけど、私は傭兵じゃない。私は、“あの方”の道具…組織の人間なの。」
言いながら、ちょん、と自分の頬にあるブラックハートチークをつつくように指差すメア。
「最近、ちょっと軍部に情報が抜けてる感じがしてさ。それで調べてたんだけど、怪しいのがひとりいて…でもしっぽを上手く捕まえられなくてこまってるんだ。そうしたら、向こうの方から親交を深めるためにパーティを催したいって言ってきてね。」
「罠に、こっちからはまってやるってのか?」
「本当に親交を深めたいだけなら問題なし、そうじゃないなら…敵地の真ん中で大暴れ♪楽しいでしょ?」
「相手は人間か?」
「わかんない。」
「なんなんだよ、そのいい加減な作戦はっ!?」
「しょうがないよ、私、作戦立案するの初めてだもん。ダメなら二人で心中だね。」
「やなこった!」
「クスクスクス、大丈夫。レイブンは傭兵なんだから、やばくなったら逃げていいよ。」
「……。」
「あ、心配しなくても怪我したときのサポートは完璧だから。合流地点まで行ってくれれば、仲間が回収するよ。ここね。」
メアは、地図の上を指差し言った。それにしても、彼女は実に楽しそうで…レイヴンは、今まで色々な依頼人から仕事を引き受けたが、こんな訳の分からない反応をする相手は初めてだった。どこか調子が狂う。戦闘スタイルに文句をつける奴や、細かく命令してくる奴やら…なにしろ、いつもはもっと煩わしくウルサイ。
「レイヴンって、目付き悪いからシュワルツと一緒だね。」
「悪ぃかよ。」
「かわいいね。」
「…はっ倒す!」
「痛っ!イタイ・イタイ。……うきゅ。」
「ちょ、レイヴン!そんなに締め上げたらのびちゃうわよ?!やめなさい!」
「わー、メアっ!」
襲いかかるレイヴンをとめるレプラとシュワルツ。なにか、真っ白い世界が見えかけたメアだったが、とりあえず、なんとか気を失うことだけはまぬがれたようだ。
「…ケホケホ、ま、夕方4時にアチリカ行きのシャトルの前で会おうね。」


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