シュワルツ失踪事件 2


「シュワルツ、こっちの花とこっちの花、匂い違うね。」
「そりゃあ、種類が違うからな」
「家にあったのと形も違うし…匂いも変。」
「そりゃ、雑草と薔薇じゃ違うだろうさ。で、メア。こんなトコほっつき歩いてる場合じゃねぇだろ?仕事しろ、仕事っ!」
「そんなの後でいい、間に合えばいいんだから。あ、こっちにも花がある。」
「…お前、やる気あんのか?」
首都近郊、浄化が進み自然の草花が咲く森林。壊れ始めた世界にあって、軍部に手厚く守られた首都は、様々な人が集まり自然な形で生活できる数少ない清浄都市だ。人が集まるこの場所には、同じように仕事も集まる。メアも首都での任務を引き受けていたのだが、相変わらず急ぐ気はなく、森の中をうろついていた。
「シュワルツ、この辺の草って美味しいの?」
「ん?…むぐむぐ…旨い。って、そんなわけないだろっ!俺は、あのイカれた科学者が作った高機能バイオロイド、電気さえありゃいいんだよ。生物なんて食わない!」
「自分で高機能って言うんだ?そういえば、この前拾ったニンジンも食べなかったね。」
「ニンジン??…あんな高汚染状態の場所に生えてた得体のしれないニンジン、タダのウサギも食わねぇ!」
一人と一匹は、今日も相変わらずな調子だ。
「メア、なんか嫌な予感がするぞ。」
「何?…この間の人、追いかけてきたのかな?首ちょうだいって言ってたし…私、首一つしか無いから、あの方にしかあげられない。斬ったら生えてこないし。」
「お前、総統が首くれって言ったらやるのか?」
「勿論。」
「……。」
「何??」
呆れた顔のシュワルツに、メアは「何がおかしいの?」とばかりに小首を傾げる。
「う〜、メア。やばい感じする、離れるぞっ!」
「わかった。あ、待って、首のリボンほどけちゃっ?えっ??」
ガサリと、突然茂みから一人の男が飛び出した。向こうもかなり驚いた様子で、コチラを見るなり驚きの声を漏らす。
「うわっ、マズイっ!」
「え?」
「もらったぁ!!」
飛び出した男が振り向いた先から、掛け声と共に、もう一つ黒い影が躍り出た。着地と共に鋭いケリを放った彼は、狙った目標とは別の人物が呆けて立っていることに気づいたようだ…が、今更蹴りが止められるはずもない。
「えぇ?!きゃぁ…!!」
「うぎゃっ!!」
盛大に蹴り飛ばされた二人。

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