シュワルツ失踪事件 1

「浮かない顔だね?」
「そう見えるなら、テレビ電話などするな。鬱陶しい。くだらん話をしてる程、俺もお前も暇じゃないだろ?」
「愛しい君がもうすぐ逢いに来るんだ、待ち遠しくてね。」
「また“愛しい”などとほざいてるのか。俺は忙しい、バカな女が組織を抜けるとほざいてな。幹部候補だったんだが…moonlight締め付けが甘かったせいだな。」
端正な顔が、苦々しく歪む。moonlight…ああ、あの坊ちゃんか。納得したように男は頷いた。
「君だって、彼が甘い事は、了解済みだったろ?行動に復讐という意味を持って僕らの側に居る、それだけ人間的情があるってことさ。いまさら何を怒ってるんだい?」
「小物の分際で、moonlightの情に取り入り逃げた事だ。どうせ、あいつが手引きし逃してやったんだろう。でなければ、生きているはずがないからな。」
「彼は、その子を信頼してるんじゃないか?絶対しゃべらないってね。クスクス、そんなに気に入らないなら、処分にうってつけの部下がいるじゃないか。」
「適任者?」
「籠から出した、君の可愛いペット。あれは君の言葉しか聞こえないからね、口車にのるなんてことあり得ないだろ?」
「……。」
「ちょうどメアに仕事を頼んであるから、ついでに処分するよう言っておくよ。だから機嫌を直して…――。」


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