俺、黒崎一護は確信した。
このままだと恋次だけでなく変なオカッパ野郎や変(態)な下駄帽子に持っていかれてしまう、と。
誰とは言わないが。誰とは言わないが!
どうもアイツは変なのに好かれるみたいだ。
下駄帽子は変じゃなくて変態だけど。
このままずっと、幼馴染みのままで終わるなんてことは、したくない。
胸を張って、俺のものだと言いたい。
何だかんだ言いながら、アイツはずっと俺の隣にいた。
最早家族公認の仲だ。付き合ってないけど。
親父に至っては娘と呼びだし抱きついている。(その度笑顔で殴られる)
そこで俺は思ったんだ。
実は、アイツも俺の事好きなんじゃないか…と。
都合の良い考え方かもしれないが、少なくとも嫌いではないはず。
なら普通か好きかの二択だ。
…普通の可能性の方が非常に高い気もするが、その考えを廃棄する。
よって、俺の結論。
俺、黒崎一護は、幼馴染みのアイツに、こ、告白します!
「一護ー」
「ぬぉぉおおお!!!?」
「ええ!?何!?サイレン!?」
いきなり声をかけられた。
今の今まで頭の中を占めていた、アイツに。
何だこのタイミング?
神様か?神様が「今だ!行け!」って言ってんのか?
「今日一護の家でご飯食べてもいい?我が家には今ひじきしかない」
「何でだよ!何でひじきだけなんだよ!それで何しようと思ってたんだよ!」
「ひじきを生贄に可愛い女の子召喚!!」
「現実を見ろ!!……まあ、飯は別にいいけど…」
「ひゃっふー!食費が浮いたぜ!」
「オイ!!」
…は!
ついいつもの癖でツッコミしまくってしまった!
ダメだ…落ちつけ黒崎一護…このままじゃ、いつもの日常だ。
「…なあ、」
「何?」
「あー……」
やっぱ、何でもねえ。
って言ったら俺は一生コイツに告白なんてできないと思う。
もう家に向かって歩き始めてる。
学校と家はそんなに離れてない。すぐに着いてしまう。
…ああ、こんな事考えてる間にも家がすぐそこに!
どうしよう。どうすればいい?
告白って、どうやるんだ?まずは、まずは、気持ちを伝えて…
「好きだ!!」
「え?何が?女の子?」
「違う!いや、確かに女だけど!」
「ルキアちゃんは渡さない!!」
「ルキアじゃねえ!お前がっ、」
言った。
ついに、言った。言ってしまった。
もし断られたら二度と口を利けないかもしれない。
それでも、俺は言った。
「…あたしも好きだよ」
「え、」
「一護のこと…」
つい、歩みが止まった。
こ、これは、いわゆる両想い、相思相愛、ハッピーエンドと捉えていいんだろうか。いいんだよな。
だって、今、言ったよな。
俺の事好き、って。
「あと夏梨ちゃんと遊子ちゃんも好き。それから一心さんも一応好き。一応」
「え」
「あと織姫ちゃんでしょ、ルキアちゃんにやちるちゃんに…(以下略)」
嘘だろ?
こんな漫画みたいな展開あるか?
『家族的な意味で好き』って取られてるんだよなコレ。
勘弁してくれよ…勇気振り絞って告白した結果がこれかよ…
「あとは…あれ?一護大丈夫?すごいやつれてるけど」
「…おぉ……」
もうやだ、この鈍感女!
鈍感女と
黒崎くん!
「(でもやっぱ好き…)」
「(…一護は、大好きだけど。急にそんな事言うなよなぁ…)」
結局は、二人とも鈍感ってこと。
end!