「それでは、ボクは南舎の三階と四階を」
「じゃあ俺は安形の方だね。行こっか、安形」
「おう。早いとこ片付けて帰るか」
「では行きましょう、デージーちゃん、椿くんも。私のところが終わりましたら手伝いに行きますわ」
「私も終わったら行く」


‐‐‐
「これで最後か」

 予想していたよりも早く終わりそうだ、と椿は考えながら最後のポスターを掲示板に貼り付ける。そのとき、制服のポケットに入れていた携帯が震え出した。メールだ。誰だろう、と思いながらフラップを開く。安形さんからだった。『終わったら北舎こいよ』とだけの短文に、はいと返事をした。

 廊下をまっすぐ進んでいく。そういえば会長は何階にいるんだろう、とりあえず階段を降りよう、と思い、椿が三階まで降りたところで後ろから声をかけられた。椿が振り向くと、呼びかけた当人である安形は片手を上げて手招きをする。

「よお椿」
「会長。四階にいたんですか」
「ああ。どうせ四階あたりでポスター貼ってるだろうと思ってな」

 安形は椿の腕を取って、思い切り抱きしめる。痛いです会長、とはにかみつつ答えて、椿も安形の体温を直に感じながら、安形の広い背中に手を回した。しばらく抱き合ったのち、安形は、なあつばき…キスしよう、とすぐそばにある椿の耳元でささやく。椿はもぞもぞしながら夕日のせいもあってか、薄く朱に染まった頬で小さくはいと返事をした。返事を待っていたと言わんばかりに、椿をわずかに上を向かせ、薄いくちびるを舐める。椿の眉間にしわが入り、ン、と声が漏れた。お互いのくちびるが触れあうまで、一センチと少し。夕日は二人を隠そうとせず、むしろ照らし出すばかりであった。


ゲームクリア


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