「では、ボクも北舎を手伝います」
「お、サンキュー椿」
「じゃあ俺は南舎の三階と四階だね。行こっか、ミモリン、デージーちゃん」
「オレらも行くか、椿」



‐‐‐

「これで最後です」
「結構早く終わったな」
「はい。よかったですね」
「…つばき」

 安形は掲示板に画鋲をとめた勢いのまま、椿の肩を掴むと、椿は反射的に肩を震わせた。

「ちょっと、会長。誰か来たらどうするんですか」
「来ねーよ。すぐチュッってして終わりだろ。なぁ」
「…しょうがないですね」

 階段の踊り場に差し込んだ夕日が男子生徒二人の影を濃く、長くする。やがて双方の影はゆっくりとした速度で重なろうとしていた。しかし、椿の耳はかすかに階段に響く足音と、会話の端々に起こる笑い声がさざめくのを聞き逃さなかった。安形の腕の中から素早く身体を引き剥がした。

「あ、ここにいたんだ。早く終わったから手伝うよー」
「オレらもちょうど終わったんだ」
「そうなの、じゃあみんなで帰ろうか」

 安形と椿は今日ばかりはどうしてこうも、と顔を見合わせ、二人してうなだれた。

ゲームオーバー


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