あ、そうだ。眠ってしまったんだった。朝の空気の冷たさに身震いしながら、オレは昨夜の記憶を辿る。毛布一枚をかぶってるにしても、とりあえずなにか着るものがほしいな。ぼんやり天井を見ていた視線を床へ移すと、ベッドの脇にくしゃくしゃになったシャツが落ちているのが見える。そういえば脱ぎ捨てたんだっけか。あーシャツ取るのめんどくせえな、ベッドから出たらまた寒くなるし。
 冷気も手伝ってだんだん冴えてきた頭は、ふたたび眠るのにも時間がかかりそうだ。となりでもぞ、とスイッチが動いた。彼のいるであろう膨らみから腕がまっすぐ伸びる。頭まで毛布をかぶってうつ伏せで寝るのはスイッチの常で、オレは最初のころ死んでやしないかとひどく心配したものだ。
 線が細くて白い腕。指は迷いなく眼鏡をつまんで、毛布に吸い込まれていった。

「起きたか、スイッチ?」

 声をかけると首を出してきた。きちんと眼鏡もかけている。ノートパソコンの電源を入れる。オレは笑いながら握り拳を差し出す。

「じゃんけん、しようぜ」

 眉を寄せられた。意図がつかめない、ということだろうか。

「負けたほうが服を取ってくるんだよ。ほら、そこの」

 床に放置されているシャツを指さすと、首を引っ込められた。



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