椿が何か垂れてるんですけど…と抗議するも依然として笑顔を崩す様子はない。

「いいから食え」
「え…」

 それは予想していたぽりっという軽快な音とはほど遠い、湿気たものだった。これまた予想外の味である。椿はチョコレートならば甘いと感じるはずなのに何故、と口の中に広がる果てしない苦みに顔をしかめた。

「苦いんですが」
「そりゃあ俺の遺伝子だからな。心して食えよ」



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