快楽に溺れる椿の意識を覚醒させたのは唐突な右肩の痛みだった。自分は確か、安形さんに。首を最大限にまわすと、安形さんの頭が肩口にあった。痛みは続いている。

「え、あの、安形さん?」

 火照りが、熱が冷めていくのがわかった。冷静になるのにしたがって、今この状況で裸であるのが滑稽に思える。

「なんかあったか?」

 安形さんの頭が離れると、じわりとしびれのような感覚が肩から身体に広がる。突如おー、と声があがった。

「きれいについたな、歯型」
くっきりついてくれてよかった、彼は至極当然そうであった。



110217

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