暗い道を街灯が照らしているものの、明るいとは言えない。雨が上がったばかりの道はぬかるんでいて、それが余計に顔をかげらせているように感じた。
 じゃーな、そっけない別れの挨拶に椿はよいお年を、と返してくれたが、お互い振り向きもせず帰路につく。
 もう今年は会うこともないのか、と思うと少しだけ寂しかった。ゆっくり歩みを止めて、振り向いてみた。まだそんなに距離は離れていなかった。椿が夜に溶け込んでしまう。オレは走った。弟の肩を抱いて引き寄せる。
 おろかもの、と小さく聞こえたのは気のせいということにしてしまおうか。



100207

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