(!)眼球舐めてます注意





 アニメ塗りされた少女二人が背中合わせになっているデスクトップのパソコンから視線を移す。名前を呼ばれたような気がしたからだ。それは当たっていた。双子であるはずの椿とはあまり似ない、めずらしく真剣な面持ちの顔が近づいてくる。あ、キスされるんだと思ってほぼ反射的に目を閉じたら

「ちょっと待って」

と眼鏡を上に押し上げられると同時にぬるりと眼球に生温かい異物感。すぐに離れた異物感の原因は舌で、ボッスンのはとがっていて赤かった。ああ、あの舌がオレの目に。眼球の水の膜が吸い取られたように乾いた気がして、何度もまばたいてからボッスンを見る。

『なんだ?』
「ん、おまじない」

 歯を見せて無邪気に笑うボッスンから目が離せない。いや、正確にはボッスンの舌、だ。口を開くたびにちらと覗かせる赤い、舌。生命力にあふれた色をした舌は、まるで触手のようであった。前に見ていたアニメでも主人公の少女が触手責めにあっていたな。
 関係ないことを思い出している間も、目は舌を追っている。不意にボッスンが

「なぁスイッチ」
『なんだ』
 なおも意識は完全に舌へいっている。空返事である。
「さっきのおまじないな」
『あぁ』
「恋は盲目、ラブイズブラインドっていうんだぜ。オレしか見てないだろ、いま」

 そうしてまた笑った。舌が跳ねたのが見えた。ボッスンの触手も喜んでいるのだ、そう思った。



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