やりたいことがある、ボクにそれだけを告げて遠いところに行ってしまった会長…いや、安形さんからメールがめずらしく送られてきました。今日は獅子座流星群がみられるそうです。風呂上がりに窓の外を見やると、くらい空は、霞んではいるけれど星たちが静かに彩っていました。
 安形さんの言っていたところはもっときれいに見えるんだろうな、そう思いました。
 風邪を引かないようにコートとマフラーをしてベランダに出ました。コーヒーを入れたマグカップと携帯電話を手に、空を見上げました。すっかり冷めたコーヒーに息をふきました。
 突如鳴り響いた携帯電話に、ボクは初め、操作がわからなくなりました。とりあえずフラップを開いて、あ、会長。とつぶやいて、安形さんだ、訂正しました。

『おう椿、星みてるか』
「はい、いまベランダにいます」

 くしゅんっ、携帯を遠ざける暇もなくくしゃみしたら安形さんが風邪引くなよーと笑った。

『オレのとこさっきまで流星群たくさん降ってたぜ、願い事しといた』
「そうですか、あっ」

 電話の声にごめんなさいと言ってすぐに耳をはなすとおい椿?と安形さんの困惑した声が聞こえたが通話を切った。一度に大量に降り注ぐ光の線にボクはひたすら祈る。
 安形さんに会えますように、安形さんに会えますように、安形さんに会えますように。

 何回も何回も祈って、もう寝てるかなと思ったが悩んだ末メールしたらあとになって同じことを願っていたことが判明した。距離は遠いのになんだか近く感じられてうれしい、風邪でぼんやりする頭でそう思った。



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