清く正しい、年齢に見合った“お付き合い”を望むボクのことは気にしないとばかりに、会長はわずか2ヶ月と少しでキスを習慣的なものにしてしまった。言わずもがな、フレンチキスもである。
「どうしてですか」
「なにが?」
会長のベッドに腰かけて、今まさにくちびるが触れようとしているところであった。そんなタイミングで急に口を開いたものだから、いささか驚いたようだった。
「なぜそんなに毎日キスしたがるんですか」
「お前はしたくねーの?」
「…そんなことは、ないです、が」
「じゃあいいじゃねーか。健全だろう?」
「そうです、けど。飽きないんですか?学校でも家にお邪魔しているときでもまいにちまいにち、こうして誰もいないときを見計らっては、こうして」
「あと一万回くらいキスすれば飽きるんじゃねーの?…試してみようか。ちなみにこれまでの回数とか覚えてるか?」
会長は毎回必ず三回だけキスをする。少なかったことも多かったこともない。そういえば、何故なのかを尋ねてみたこともない。
はい、と答える。たしか、ひゃくきゅうじゅうごかいです。
「百九十五?そんなにしたっけ」
あと一万まで何回だっけ、と数え始めた会長を横目にボクは、一万まで達するのにあと何日だろうか、と暗算し始めた。
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