2016/01/11
狭いトイレに駆け込んだ。身体を半回転されて扉を閉めようとしたら、安形さんが迫ってきていた。バタン!鍵をかける指が震えて思うように動かない。それどころか扉の向こうからドアノブをめちゃくちゃにひねられる。片手で抑えて鍵をかけようとしても力づくで開けられてしまうだろうと悟ったボクは、両手でドアノブをがっちりと抑えつける。しかし、無情にもたやすく扉は開かれた。
「俺に勝てると思ってんのか、つばきぃ」
ヒッ、と叫びにも似た声は喉奥でくぐもった。腕をつかんで引っ張り出されると、両手を大きく広げて、抱きしめられる。
「なぁ椿」
「いやです」
「まだ何も言ってねえんだけど」
「だめです」
「いいじゃんなあ」
「だめです」
「キスだけだから。なぁ頼むよ」
「だめです」
腰を撫でる手が止まらないどころかどんどん手つきがいやらしくなっている気がする。
「な、いいだろ」
「だめですってば!大体そう言って昨日だって一昨日だって結局最後までしてしまったじゃないですか!」
「あーお前最後までだめだって粘ってたもんな」
「なのに完全に無視して……っ!」
「お前もよがってたし気持ちよさそうに喘いでたもんな」
「だからだめなんです!」
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