#リプでもらったCPについて自分の趣味全開の考察と展望を述べる【官兵衛×お市編】
2013/09/26 21:54

 官兵衛さんとお市については、サイト開設前から色々と考察してきたのですが、最近になって一つ辿り着いたのが官兵衛さんのお市に対する「第五天」っていう呼び方がすごい、ということです。

 そもそも官兵衛さんが他人を名前であまり呼ばない、というのはよく知られていることですが、「第五天」という呼び方について、人によってはなんだかお市が可哀想だと思うかもしれない。
 というのも、第五天魔王としてまつり上げられることはお市にとっては特に本意ではないし、魔の血を引いていることが彼女の人生に多大な試練を齎しているからです。
 家康や慶次のような優しい人たちは、お市を絶対に第五天魔王として扱うことはせず、普通の女性として安らかに生きてほしいというスタンスですよね。忘れているなら過去のことを無理に思い出さず、出来れば戦場からも遠ざかってほしいと。

 でもそれは見方を変えると、お市の「魔」の部分から目をそらしているということなのではないか。
 実際にお市は、兄とも互角にやりあえるような正真正銘の魔王なんですよね。根の国も開ければ、魔の手も呼び出せる彼女はおよそ普通の女性ではないでしょう。
 官兵衛さんは恐らく、お市が普通の女性ではないということをありのままに受け止めて「第五天」と呼んでいるのだと思います。

 官兵衛さんは人を見る時には、概ね一定の客観性を保ちながら評価する人だと私は思っていて(気に入らないと言いながらも毛利のことを「国主としては正しい」と評価しているのが特に顕著ですね)、ゆえに「可哀想ったってなんたって、実際こいつ魔王なんだからしょうがないだろ」っていうスタンスなんだと思うんです。
 「どいつもこいつも第五天のこと可哀想可哀想って、なら小生だって可哀想だろうが」ぐらいの感じですよね。

 「魔」の部分ひっくるめたお市と尊重されるべき個人として付き合っているので、意味がわからないだろうな……と思いつつ、わざわざ子どもに対するような言葉を使ったりせず他の人にするのと同じように会話する。
 自分が今まで書いてきた官市の官兵衛さんが、魔の手と仲良くなったり、お市の力を率直に褒めたりする傾向があるのはその解釈からでした。

 目をそらさず、恐れも蔑みもせず、魔王の自分と向き合ってくれる官兵衛さんがお市の目に優しい星模様の熊に見えたのは道理と言えるでしょう。

 恋愛感情でなかったとしても、官兵衛さんはお市のことがきっと好きだと思うんですよね。なぜなら、官兵衛さんは穴蔵にやって来た鶴姫のことは自分の野望に利用しようとするのですが、お市のことは利用しようとしませんでした。忠勝でもザビー教でもなんでも利用するけどお市のことは利用しませんでした。

 生意気な巫などより、心が病んでる上に懐いてる魔王のほうがずっと扱いやすいし強力な手札になる筈が、官兵衛さんはけしてお市の力を自分の為に使うことはしない。それどころか、それをした刑部を「悪趣味」だと言っていましたね。

 しかしながらお市の緑ルートで、声に導かれて宿命の戦いへ向かうお市を官兵衛さんは他の人のように、引き留めたりはしなかった。最後までお市を尊重し、名残を惜しむような言葉を口にしながらも彼女の望むままに送り出したんですね。私はあのくだりの官兵衛さんが、非常に男前で大好きです。

 一方、お市にとっての官兵衛さんはきっと最後までただの星模様の熊さん、通称お星様です。
 ある日、穴の中、熊さんに、出逢った。それだけのことですし、長く記憶を保てないお市が、どれほど官兵衛さんのことを記憶に留めていたかはわかりません。
 彼女が愛するのは、生涯浅井長政だけかもしれませんが、官市はそれでいいのだと思います。
 お互いの人生の一番昏いところでバッタリ出会って、別の星を目指して歩き出していく――そんな官市が私は好きですね。 

 



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