QUESTION2 「私と結婚してくれないか」 男が次に発した言葉は、今まで生きてきた23年間の中で一番と言っていいほど、なんとも衝撃的だった。 勝手に盛り上がる周囲に頭痛を覚える。野次馬は顔見知りである町の皆も混じってはいるけれど、3分の2が見慣れない人達。多分、この男の取り巻き(従者とかの事ね)だろう。 そして、そこかしこから、私の耳がおかしくなければ「マオウサマ」とかいう単語が聞こえるんだけど。 一体どういうことなのか尋ねたいのは山々だけど、とりあえず真意を聞く前に状況を打破するために声をかける。 「…何を言ってるのよ、ラオ」 「プロポーズだが?」 ある意味では賭け。その賭けに勝ったのは私。疑いが確信に変わる。独特の脳に響く甘く低い声は、ラオのものだった。 ラオと知り合ったのは、追われいるらしい彼を、私が店で匿ったのが始まり。帽子を深く被って不審者そのものの外見だったけど、服自体は質の良いものだったので咄嗟の判断で彼を店に押し込んだのだ。 どうせ屋敷から抜け出して従者を撒いている貴族か何かだろう、と検討をつけた。それから月に1、2回ほど来店してくれる常連客になったのだけど。 ←|戻|→ |