総受け物語3 「あ、今倉先生」 「福田さんがめいくんの可愛さにやられましたぁ」 「そんでもって倒れましたぁ」 「え?え?」 自分の名前が出たことに驚きキョロキョロする芽衣。クラスメイトはそんな芽衣を生暖かい目で見つめる。納得した今倉は呆れの溜息を吐き出した。 「福田は保健室に連れて行ってやれ。周りの奴はその床の血溜まりを雑巾で拭け」 「「「はーい」」」 ダルそうに頬を掻きながら指示を出した今倉に大人しく従う。今倉はふと自分のスーツが軽く引っ張られているような気がして目線を下げた。 「めい?」 「せんせー…」 スーツの裾を芽衣が引っ張っていた。今倉が目線が合うようにしゃがめば芽衣が勢いよく抱きついてきた。それほどの衝撃ではないのでなんなく受け止める。 「どうした?」 芽衣の頭を撫でながら常より柔らかい声音で尋ねる。 「福田さんが倒れたのって僕のせいかな」 不安げに瞳を揺らす芽衣にキュンとしちゃった今倉は強く抱きしめる。芽衣もよく分からないが抱き返してみた。その行為が今倉の理性を揺れ動かすとは知らずに。 「(やべぇ可愛すぎる。何だこの可愛い生き物は)」 「せんせ?」 「何でもない」 今倉は内情を知らない芽衣に悟られないように笑いかけた。 「福田のアレは自業自得だ(耐えられなかった福田が悪い)」 「そうそう!(福田さんの気持ちが分からないでもないけど)」「めいくんは悪くないよー(むしろ同意しちゃうけど)」 「大丈夫だよ、めい(めいの可愛さで死ねるなら本望だろ)」 「そ、そうかな」 クラスメイトが頷き合うのを見てようやく安心したらしい芽衣はふにゃりと顔を崩した。それを直視した今倉はというと。 ―――チュ、 「?」 「ちょ、先生デコチューは駄目!!」 「それは見逃せねぇ!」 「先生がご乱心(?)!!!」 「だって可愛いんだもん」 「「「キモい」」」 「酷い」 首を傾げる芽衣を抱いたまま今倉がニヤリと笑う。 「羨ましいだろ?」 「「「羨ましい!!!」」」 何かと芽衣を中心に仲が良いクラスメイト+α(担任)でした。 end. ←|戻|→ . |