ノンケ×ノンケ2 「一緒に帰るの久しぶりだよな」 「そうだな。3週間ぶりか?」 二人、肩を並べながら歩く。そう思うと本当に久しぶりだな、と全は呟く。まだ高い空を見上げて、空ははにかむように笑んだ。 「いつも一人だから嬉しい」 そんな全の笑みに清紀はドクリと心臓が跳ねた。それを隠すようにニヤリと口角を上げる。 「そんなに俺と帰るの嬉しいわけ?」 「うん」 あっさりと返された言葉に少し戸惑う。知らずの内に清紀は目元を少し赤らめた。 「…恥ずかしい奴」 「えー。清紀は嬉しくないの?」 「嬉しいけど」 「良かったぁ」 安心したように頬を緩める全に清紀は苦笑した。 「いつも一人にさせて悪いな」 流石に罪悪感を感じる。清紀は陸上部で全は帰宅部だ。部活をしているかしていないかの時間差は大きく、待っていれば日が暮れる。 全は待っててもいいけど、と零すが清紀がそれを拒否した。最近は物騒だから、と全を諭して先に帰ってもらっているのだ。 しかし幼稚園の頃からの付き合いで、幼馴染とかいう間柄である二人にとってバラバラに帰ることは結構こたえた。暫くそういう日常が続けば人間の悲しい性か慣れてしまう。けれどもふと思い出した時に、自分の体の一部を失ったかのような感覚に陥るのだ。 依存しているのかもな、と清紀は心中で呟いた。清紀と共に帰ることが少なくなった全が、他の友人と帰るでもなく一人で帰っているのを見る度に酷く安心もするのだ。 もしもその隣に自分以外が立つと仮定すれば、どうしてかドロドロとした感情がひとりでに溢れ出す。清紀は自身の想いの異常さに薄々気付いてはいたが、それがどういった種のものなのかは分からず仕舞いだった。 「俺、清紀がいるなら他に何もいらないや」 全の言葉に清紀は固まる。その様子を知ってか知らずか「なんてな」と全はわらう。清紀の目が鈍く光ったことには気付かなかった。 「…俺も」 「え?」 「俺も全がいれば何もいらねぇよ」 一瞬キョトンとした全だったがすぐに頬を緩めた。 「そっかー。両想いだな!」 「そうだな」 嗚呼、なんと愛らしいことか。自身の中に揺らめく感情の正体が、今分かった気がする。 (これはきっと―――だ) 「何か言った?」 「いや、別に」 清紀は被りを振って小さく笑った。 end. ←|戻|→ . |