ノンケ×ノンケ1 「―――あ、そうだ。帰りにCDショップ寄っていい?」 「了解」 先程ホームルームも終わり、鞄を肩から提げた男子生徒、秋沢全が声をかけた。声をかけられた阿部清紀はというと申し出に快く了承する。 「あれ、阿部は部活休み?」 二人の様子に気付いた乾進大が尋ねる。進大の声に全は嬉しそうに頷いた。 「昨日大会が終わったから今日は休みなんだって!」 「そういえば大会だったっけ。結果は?」 「上々」 清紀はニヤリと進大に笑いかける。 「流石短距離エース」 進大も清紀と同じように笑み、拳を差し出す。その拳に清紀もまた進大と同じように差し出してぶつけた。 「仲良いね(美味しいktkr!)」 可愛らしい笑顔で清紀と進大を見ているのは中本伽耶。外見はかなりの美少女で、男子生徒に絶大な人気を誇っている。が。 「…そんなんじゃねぇから(副声音聞こえてんぞ)」 「えー(え、マジ?)」 進大が溜息を吐いて拳をしまった。そのまま伽耶の頭を撫でる。伽耶の内情は進大にのみ理解出来ていて、全と清紀はキョトンとしていた。 「何でもないよ(どっちが受け?)」 「…ハァ(大人しくしろ)」 懲りない伽耶に進大は深く嘆息した。見た目美少女な彼女は中身は腐っていたのだった。 「よく分からないけど、中本さんは進大を迎えに来たんだ?」 「うん、そうだよー」 萌えを求めに来たとは言えない伽耶は全の声ににっこりと笑った。 「だったら進大、早く一緒に帰ってやれよ。彼女だろ?」 「えー、むぐっ」 「ああ、そうだな。俺ら帰るわ」 進大は伽耶の口を塞ぎ引き攣った笑みを浮かべる。そそくさと帰っていく二人を清紀と全は不思議そうに見送った。 *ちょっとおまけ 「お前大人しくしろって言っただろ」 「だって目の前に萌えがあるのに大人しく出来るわけないじゃん」 「(なんで俺こんな奴に惚れたんだろ)」 「やっぱり秋沢くんが受けかな。綺麗系だもんね」 「…どうとでも」 ←|戻|→ . |