逆襲 | ナノ

逆襲












 学園のくだらない慣習に従い、抱かれたいランキング1位だった俺は強制的に生徒会会長となった。元々人の上に立つために生まれてきたのだから、それ自体は別になんとも思わない。
 書類を捌くのは面倒だが、これくらい大したものではない。社会に出て会社を継げばもっと多くの紙束が積み上げられるだろうから、予行演習だと思えばなんてことはない。ただ、生徒会と平行した立場にある風紀委員の頂点に立つ男の存在がなければ、少々学校生活としては窮屈だが充実した毎日だと胸を張れるだろう。


「―――よォ、難波」


 生徒会室と風紀室があるフロアをゆったりと歩いていれば、ゾクリと戦慄かせる艶のある声が響いた。顔をしかめるのは一瞬で、すぐに不敵な笑みを浮かべて対応する。


「何か用か、風紀委員長サマ?」
「いや?見かけたから声を掛けただけだ」


 何でもないように言ってのける男に苛立つ。俺はこいつのせいで体のあちこちが痛いというのに、原因であるこの男は飄々としている上にどこかスッキリとした空気を纏っている。
 そりゃあんだけ出せばスッキリするだろうな!



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