Notice!2 「よォ」 「…どーも」 なぁーんでこうタイミング良く出てくるのかな。重厚な生徒会室の扉が開いた。現れたその人は、この男の園の生徒会長様。黒豹を彷彿とさせるしなやかな体躯の美形だ。どうしてだかこの人は俺に構ってくる。 「なんだ、濡れた髪が色っぽいな。誘ってんのか?」 「まさかー」 俺はバイだけど、誘うような真似はしませんよーっと。 「西谷、今晩暇か?」 「いえいえ全くもって暇なんてものはございませんよ」 妖しい色気全開の笑みに、俺も満面の笑みを浮かべて斬り捨てる。 「なら明日はどうだ」 「会長様が俺如きに時間を割くだなんて忍びないですから」 イコール全面拒否。 「そういうのは親衛隊の子達に言ってあげてください。泣いて喜びますよ」 「俺はお前が欲しいんだ」 「たまには平凡(珍味)もってことですか?じゃあ俺じゃなくてもいいですよね」 そう言い切ると何故か会長は顔を歪めた。しかしそれはほんの一瞬のことだったから、見間違いかもしれない。…どうせ幻覚に違いない。 結論付けた俺は「呼び出されているのでこれで」と断りを入れてさっさと足を進めた。 * 「―――ちはーっす」 「遅い」 「うわ!」 扉を開けた瞬間、視界が白いモノに覆われた。ベシリと顔面に投げつけられたのはクリップで纏められた書類の束だった。うげぇ、いつもより量が多い。紙束を片手でヒラヒラさせて攻撃してきた当人を見やる。 広い室内で一際大きな机でキーボードを打っているその人も、やはり美形。ただし会長とは違い、硬派な美丈夫である。長物を持たせると学園で敵なしと謳われる剣道の達人だ。 「会長に捕まってたんですよ」 「三枝に?」 嘘は言ってない、嘘は。 「今晩暇かって言われました。俺が欲しいだなんてあの人誰にでも言ってるんでしょうか」 だとしたらどんだけ下半身緩いんだろう。そう考えていた俺には委員長の声は幸か不幸か聞こえなかった。 「哀れ…」 *end 会長→平凡風紀委員 西谷は平凡だけど垂れ目+泣き黒子で色気がだだ漏れで有名。 惚れられてるとは知らずにのらりくらりと会長を躱すマイペースさん。 会長はこの後生徒会室で落ち込んでると思われる。哀れ。 ←|戻|→ . |