BLUE SKY3 | ナノ

BLUE SKY3












「その歌、誰の曲なんだ?」
「…どうして、ですか?」
「………いや、綺麗だと思ったから」


 一瞬の間の後、そんな答えが返ってきた。思わず笑ってしまう。こんなデタラメな歌を褒めてくれるだなんて。
 本当は答える気なんてなかった。感心を引けば、自分の身を滅ぼす。制裁に遭うなんて御免だ。ちょっとした出来心。綺麗だと言ってくれた。少し照れたようなその顔に胸が温かくなる。


「…僕が、作った歌です」


 会長は驚いたような顔をした後、穏やかに笑った。


「そうか。俺は好きだな」
「ありがとうございます」


 つられて小さく笑う。


「…明日も、来るのか?」
「空が青ければ」
「そうか」


 ただの気紛れに、会長は嬉しそうな声音で言う。悪くない。柔らかな木漏れ日が僕を包んでいた。



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