BLUE SKY | ナノ

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 学園は、堕ちた。たった一人の転校生によって。この一言で分かる人には分かるだろう。
 全寮制金持ち学園、男の園に季節外れの転校生がやって来た。腐った姉の言う「ボサボサ頭に瓶底眼鏡スタイル」ではなかったけど、先祖返りらしいふわふわの金髪に碧眼で、まるで天使のような美少年だった。
 しかし天使なのは外見だけで、性格は酷いもの。人の話は聞かない、声は大きい、自己中心、KY、破壊魔などなど。影では宇宙人とも呼ばれている。
 そんな未知の生物に会長以外の生徒会役員や親衛隊持ちはフォーリンラブ(笑)らしい。まだ救いなのは風紀が誰一人として毒牙にかかっていないことだ。…まぁ、恋にうつつを抜かす前に宇宙人が増やした仕事をこなすのに手一杯なんだと思うけど。
 こういった現状により、学園は悲惨なことになってしまった。親衛隊の統率が出来ずに制裁は後を絶たず、混乱に便乗した輩による強姦被害も出ている。それでも最近は目を醒まし出した者も増えて、徐々に沈静化している。
 僕は元々、保身のために親衛隊に入っただけだから、心底どうでもいいんだけど。ただ、会長のところに入ったのは正解だった。会長だけが仕事をしているし、尊敬出来る。親衛隊内も静観の体勢だからね。
 やっていることと言えば、有能な隊員が生徒会の仕事を手伝っていることくらいだろう。僕も隊長からお誘いいただいたけど、他にも有能な人は沢山いるし会長のことを好きな人たちに選ばれてほしい、と断った。その時隊長が頭を撫でてきたのは余談だ。
 そういうわけで、完全なる傍観者にまわった僕なのである。



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