悲劇の結末 パタン。 重厚な生徒会室の扉を背にした途端、緊張の糸が切れたらしい。頬が濡れていくのを自覚しながらも、どこか意識はぼんやりとしたままだった。 「要らない、か」 つい先程まで恋人だった彼の言葉を反芻する。自嘲めいた笑いが込み上げてくる。彼にとって僕は、そんな一言で済まされてしまうような存在であったと、認識せざるを得ない。 転校生が来てからというものの、僕と書記以外ピタリと生徒会室に来なくなった。仕事は増えていく一方で、限界を越えていた。 もう駄目だなと思った。風紀や顧問からはリコールを勧められていたし、僕は良いにしても、書記にこれ以上無理はさせたくなかった。 リコールの書類は、今まさに手の中にある。無意識に握り締めていたために、少し皺が寄ってしまっていた。すでに必要事項は書き込まれていて、後は風紀に提出するのみ。 「副、会長」 「…成田」 じっと紙を睨んでいると、後ろから声がかかった。振り向くと眉を顰めた書記、成田が立っていた。 「これ、提出しようと思って」 成田に見えるように書類を差し出す。受け取った彼はきゅっと口を結んだ。 「ごめんね、僕の私情で今まで先延ばししてた」 いつかみんな戻ってきてくれる。淡い期待は叶うことはない。成田は今にも泣き出しそうな表情でゆるゆると首を横に振った。 「…行、こ?」 成田の左手が僕の右手に重なった。引かれるままに歩き出す。互いに何も言わない。流れ出る涙についても、何も聞かないでいてくれるのが、とても有り難かった。 end 続編です 書記はわんこなイメージ 後々書記×副会長になればいいなぁ、なんて ←|戻|→ . |