覚醒3 「―――ここはテストに出やすいので覚えてください」 カツカツと黒板にチョークを滑らせる。能勢のクラスでの授業。前までは目を輝かせて黒板を(というか俺を)見ていた能勢は、今ではひたすらに下を向いている。目を合わせたくないのだろう。だが癪に触る。 何故あれしきのことで諦めてしまえる?毎回フられても笑っていたお前はどこに行った。 (…面倒臭ぇ) ぼんやりと心中で呟いた。認めたくなかったが、ここまで来ると認めざるをえない。俺がずっとあいつのことを考えてしまうのは、やはり好意を持つからなのだろう。 何年かぶりの恋は形容詞に「禁断の」が付いてしまうようだ。ボリボリと頭を掻いて溜息をつく。あんなガキに振り回されるとは思ってもみなかった。 乾いた笑いを呑み込んで、ゆるりと息を吐き出す。本気にさせた能勢が悪いということにしておこう。 (さぁて、どうするか) とりあえず、教師の権限を使える限り使ってやろうではないか。職権濫用?上等じゃねぇか。 「今日はここまで。…能勢、放課後に俺のところに来なさい」 ビクリと体を震わせて顔を上げた能勢の目は少し充血していた。泣いていたのか?だとしたら俺絡みか。 ああ、愉しい。俺だけがあいつの感情を揺さぶると思うと―――。 沸沸と沸き上がる獰猛な欲に、うっそりと笑んだ。 end 日課の先生視点でした 予想外に先生が鬼畜ドSになってしまったが後悔は微塵もありません 続きそうな予感がするが書くかどうかは不明です ←|戻|→ . |