泣き声2 男は真摯な瞳で少年を見、口を開いた。 「―――俺と来るか」 ただその一言だけを発し、それ以上は何も言わずに口を噤んだ。少年はひたすら男を見つめた。まるで見極められているかのような気持ちになる。男は居心地悪く思いながらも少年から目を逸らす事は無かった。 これが決定打だったのかどうかは分からないが、暫く経った後に少年は僅かに首を縦に振った。注意して見ていなければ気づかない程の動きに男は艶やかに笑んだ。 ブランコの鎖を軽く握っていた小さな手に自身の手を重ね優しく、しかし力強く引っ張った。少年は抵抗せずに身を任せて男の胸へと飛び込む。男は満足げに鼻を鳴らし、少年の腰と足に腕を差し込み抱き上げた。 少年はキョトンと横抱きにされた状態のまま男を見上げる。男は笑みを深くし車へと足を運び、少年を助手席に壊れ物を扱うかのように優しく降ろした。運転席に座り車を発進させる。とりあえずはホテルか、と考えて目的の場所を目指す。 その間やはり少年はキョトンとしたままであったが、瞳が見せる色はどこか違うものであった。口角が上がるのを、男は止められそうにもなかった。 (見つけた。俺の愛し子) end ヤクザ×少年 ヤンデレ攻だと思われる ←|戻|→ . |