雨のち雨3 郁人の事だ、GPSを使って此処を探し当てるだろう。早く、早く。衝動のままに走り出した。俺に救いの道は無い。あるのは暗い未来だけ。 償わなけらばならないのだ。これ以上生きていると家族に迷惑を掛けてしまう。郁人にも迷惑を掛けるだろう。それだけは絶対に駄目だ。そんなの俺が俺自身を許せない。 どうする。どうすれば迷惑を掛けずに死ねる。考えろ、俺。首吊りとかは迷惑極まりない。切腹…どこの時代劇だ。崖から飛び降りる、いや、体が残るな。焼死。火事にならなきゃ基本無理だろ。バラバラ死体。一人で出来る訳ない。 「っどうすりゃ良いんだ!」 悩んで却下して悩んで却下しての繰り返し。時間が無いんだ。既に薬は俺の体を蝕み始めていると自分でも分かる。薬は体がそのまま残るのだと、飲む前に気付いておけば…! 「海…」 いつの間にか海に来ていた。水死体はどうだろう。 「サメとかが俺を食べてくれりゃいけるんじゃないか?」 「却下」 あちゃあ。俺の事を探すだろうとは思っていたけどまさかこんなに早く追いつかれるとは。 振り返ると俺なんか比にならない美形が息を切らして立っている。会うのは一年半ぶりだろうか。以前よりも増して男前になった。 「…久しぶり」 「全くだ。どうしてそうなる前に連絡を寄越さなかった」 俺が相談するような柄じゃないのは誰よりも郁人が知っているだろうに。 どうして郁人がそんな辛そうな顔をするんだよ。 「俺はそんなに頼りないか」 「いや」 「じゃあ何故言い逃げ等する!」 そういえば好きだと言っちゃったんだっけ。人生最悪の失態だ。というか郁人はノーマルなはずなのに気持ち悪いんじゃないんだろうか?直接言われたら流石の俺も凹むなぁ。 ←|戻|→ . |