黙れば良いんじゃないかな2 「っ」 ドアノブに手をかけていたのだが、腕を掴まれ壁に押し付けられる。背中が痛い。 俺ぼこられんのかな。廊下で殴られるよりかはマシだが、自分の部屋の玄関が血塗れになるのも嫌だな。そんなことをつらつらと考えながら襲ってくるだろう痛みに備えて目を伏せる。 「お前、名前は」 「え」 しかし予想外な言葉に閉じていた瞼を持ち上げる。いや、顔近くねぇ? 「名前」 「…梨木千」 急かされて答えたものの、相手の意図が掴めずに近い漆黒の瞳を見つめる。顔は言わずもがな、瞳が綺麗だ。呑気なことを考えながら相手の様子を窺う。 「俺は甲斐貴世(かいたかせ)。ご主人様、俺のことは犬と呼んでくれ」 「は?」 犬?なんで犬? 「ご主人様、早く呼べよ」 「………」 大不良様はドMでした 「その蔑んだ目イイ!!」 「黙れ」 end ←|戻|→ . |