俺は俺のモンだっつーの2 「薺」 「…何、帝(みかど)」 後ろから俺を抱きこむように腕を回す誰かに息をつく。ザワリと周りの空気が揺れた。 まぁそりゃそうだよね、だって帝ってばこの学園で一番の有力者だし。生徒会よりも、風紀よりも、理事長よりも上の権力者、王流帝(おうるみかど)。それが俺の背中に張り付いている奴の名前。そしてコイツに抱きつかれている俺は平凡です。反感を買う理由なんてそれだけで十分なんだけど、ウッカリ俺ってば名前を呼び捨てにしちゃったし。 更に険悪な雰囲気?俺のせいっちゃあ俺のせいだけど。 「帝、邪魔なんだけど」 「キレてるな」 「当たり前。また痣出来たし、そろそろ限界かなって」 「俺には既に限界来てるんだが?」 「…はぁ」 何で当事者の俺よりキレてるんだか。そう思ったのが顔に出ていたのか、帝は目を細める。 その静かな怒り、そして威圧感に周りは青褪めて震え出す。今この場を支配しているのは確実に帝だ。「帝王」と呼ばれるだけのことはある。 「俺のものに手を出した。それだけで理由になる」 「あーあ」 これで後戻りは出来ない。恋人宣言されちゃったぁ。わーお熱烈ぅ。いつの間にか俺の怒りは収まった。けどその代わりに。 「―――覚悟は出来ているだろうな」 帝のスイッチを押しちゃったよね。残念。俺の方がまだマシなのに、ねぇ。怒らせたアイツらの自業自得だけど、同情するよ。頑張れー(棒読み) ま、同情なんてしてやるものか。俺は性格悪いからね。俺に目をつけたのが運の尽き、だよお馬鹿さんたち。 俺は目を眇め、嘲笑(ワラ)った。 (ザマァみやがれ、クソが) end ←|戻|→ . |