兄が出来ました 続々編2 「そういえば何て呼べば良いんですか?」 「何でも良い」 何でも良いが一番困るんだよなぁ、と少年。 日向さん…でも兄弟で"さん"付けはよそよそしいし。日向"君"って感じでもないし。先輩だもんなぁ…兄かー。…ん、兄?兄、兄貴、兄さん…。 頭を捻り行き着いた先は爆弾だった。 「…お兄ちゃん?」 ポツリと呟いた瞬間ガッと頭を片手で掴まれる。地味な痛さに涙目になりながらも日向を見ると、耳がほんのり赤く染まっていた。随分と直接的な照れ隠しだな、とぼんやり思う。 「お兄ちゃん、痛いっすよー」 そして追い打ちをかける。分かっているのか分かっていないのか…否、きっとわざとだろう。しれっとした顔で言うものだから余計にダメージが大きい。 「…それはやめろ」 「俺は良いと思うんですけどね、"お兄ちゃん"」 「やめろ」 ギロリと睨まれて渋々頷く。赤い耳で睨まれても怖くないんだけどなぁ。 「…じゃあ"ひぃちゃん"とか」 「お前分かって言ってるだろう」 「勿論」 普通なら竦み上がる鋭い目をものともせずに笑う。初めてと言っても良いほど振り回されからかわれている日向は半眼で義弟を見る。 ←|戻|→ . |