兄が出来ました 続々編1 「………」 「………」 強面不良と平々凡々な少年が座布団に胡座で座り見つめ合っている。なんともシュールだ。 義父の紹介が終えたと思えば、母による「ママはイチャイチャしたいから兄弟仲良く親睦でも深めていらっしゃい。邪魔しちゃ駄目よ?」という語尾にハートマークがつく発言で追い出された二人は、ひとまず岬の部屋で待機することになったのだ。 なんとも気まずい――― 「そういえば俺ってやっぱり佐多岬になるんですかね?」 「………ああ」 ―――のは日向の方だった。 佐多岬かぁ。意外と悪くないな。画数もそんなに多くないからテストの時も楽で良い。 どこまでも我が道を行く岬である。それにしても、と日向をチラ見どころかガン見する。 「顔怖いですねぇ」 ストレート過ぎる言葉にどう返せばいいものか迷った挙句口を閉ざした。流石に失礼すぎるぞ、少年。 「でも、良い人ですね」 にへら、と頬を緩ませた岬に目を丸くする。聞き慣れない単語に動揺して顔を背けた。 「…何故」 「だって俺失礼なこと言ったのに、怒らなかったじゃないですか」 失礼だという自覚はあったのか、と日向は思った。これには心底同感である。 ←|戻|→ . |