兄が出来ました 続編 「―――で、こちらが?」 「そぉよ!格好良いでしょー」 テーブルを囲んで4人の男女が座る。その内の一人はもちろん少年、栗野岬である。 隣に座るのは40歳とは思えない(実際岬は本当に自分が母の子であるのかを疑い役所の戸籍を見せてもらった事がある。当然血が繋がっている事は証明されたのだが、複雑な気分に陥ったのは言うまでもない)母。目前に座るのは威圧感たっぷりな同じ人種とは到底思えない、先程衝撃的な出会いを果たした佐多日向。 そして対角線上に座るのが新しく父親となるらしい、柔和な表情を浮かべている男性。こちらの男性も母と同じく年齢がまるで分からない。というよりも、こんな優しげな男の息子がどうしてあんな事(失礼)になってしまったのだろうか、と岬は考えていた。 「初めまして、岬君。佐多典之です」 「ご丁寧にどうも…」 義父から差し出された名刺を受け取った岬は、そこに書かれた事を読んで目を見開く。そして隣の母の服をちょい、と引っ張った。 (何?母さん玉の輿な訳?) (うふふー。凄いでしょお) (凄いも何も。あの有名なSATAグループの総締めだなんて…) (典之さんが猛アタックしてきたんですもの。流石のママも根負けしたわ) (うん、ノロケはまた今度聞くから) ノロケ話に突入しようとする母を遮って美丈夫を見やる。義父は微笑みながら首を傾げ岬を見返す。 「お義父さん」 「!」 「母をよろしくお願いします」 「っもちろんだよ!」 (うわー…輝いてるよ。平凡には眩しい笑顔だ…美形滅びろ) 笑みを崩さずに岬は内心で毒づいた。 (魔王って金持ちだったんだ。初耳。むしろ人の子だったことにビックリなんだけど) 何気に酷い少年、岬。これからの家族生活はどうなってしまうのだろうか。 end ←|戻|→ . |