Understand ? | ナノ

Understand ?


「ーーー好きやねん。分かって」


 夕暮れに染まる公園で二人の男子高校生が向かい合っていた。背の高い方の優しいマスクをした男子は、目から塩水をポタポタと落としている。一方で背の低い方のつり目が猫を思い起こさせる男子は、困り顔で向かいの男子を見上げた。


「それって友達としてやったら駄目なん?」
「うん」


 猫系男子は困った顔を更に深めて顎に手を当てた。別に気持ち悪いとは思わない。性癖は人の自由だ。それが自分に対してでなければ。そこ大事。ものっすごく大事だから。


「オレはノーマルやねんけど」
「知っとる」
「知っとるんやったら何で言ったんよ」
「言いたくなってんもん」


 口を尖らせて拗ねた顔をする彼に呆れる。「もん」とか言っても可愛くな…いや、可愛いけれども。そこは大人しく胸の内に閉まっておくのが道理だろう。


「なあ、あかん?」
「そうやなぁ。オレ、好きな人じゃないと付き合わへん主義やねん。そやから」
「分かった!好きになってもらえるように頑張るわ!」


 諦めて、という言葉は彼の勢いに消された。いやいや、分かっとらんやろ。そうは思ったものの面倒になってきたので放置することに決定。


「…おー、頑張りぃ」
「うん!」
「………帰るか」
「うん!」


 尻尾を振っている幻覚が見えて、オレ疲れとるんかな?と首を傾げる。


「あちぃ」
「今日の最高気温30度超えとるらしいよ」
「げっ。まだ5月やで?地球どうなっとるん」
「夏になったら耐えられんなー。アイス食べて帰らん?」
「え、おごってくれるん?」
「んな訳ないやん(笑)」
「ですよねー」


 お前ほんまにオレんこと好きなんかい。と思わないでもない。今月お財布ピンチなんよなぁと悩む。


「しゃーない、特別に俺がおごったろ」
「ハーゲンダッソがいい!」
「却下」



おわり。

リハビリのためにほのぼのを選択。関西弁というよりは神戸弁です。つまり私の生息地。





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