犬派猫派 | ナノ

犬派猫派











「いや、猫だろ」
「犬に決まってるじゃん」


 一人の美青年と美少年が言い争っていた。


「大型犬可愛いでしょ!?」
「猫の愛らしさ、お前は分からんのか」


 内容は犬派と猫派の話のようだ。取り巻きに見ていた人々は、それぞれ犬派なのか猫派なのか話し始めた。


「猫って引っ掻くじゃん」
「俺にだけ懐くとか可愛すぎるだろう?」
「ぅぐっ」


 美青年の言葉に周りの猫派は頷き合う。犬派は言葉に詰まり考え込む。


「大型犬だって噛み付くだろう?」
「飼い主にだけ尻尾振るとか可愛いじゃんか」
「まぁ」


 美少年の声に犬派は勢いよく頷く。猫派は口を噤んだ。


「だって格好良くて可愛いんだよ、俺の大型犬は」


 プクリと頬を膨らませた美少年が美青年を見上げる。


「俺にだけ懐く猫も、愛らしいだろう?」


 美青年はそう言って美少年のふわふわな髪を撫でた。


「むぅ」


 ふてくされたように美少年は口を尖らせた。


「それっておれのことでしょ」
「まあな。大型犬も俺のことだろう?」
「まあね」


 美少年はつま先立ちになって美青年の唇に自分の唇を重ねた。


「おれだけのワンコだもん」
「俺だけの猫だろう」


 仕返し、とばかりに美青年も美少年のふっくらした唇に口付けをする。


「お互いに自分のもんってことでいいだろ」
「うん、そうだね」


 美少年は素直に頷いて綺麗に笑った。それを見た美青年は一瞬にして美少年を抱き上げた。


「ぅわ!?」
「部屋行くぞ」


 美少年は美青年の瞳に宿るギラギラしたそれに思わず笑った。


「りょーかい」


 美青年の首に手を回して鼻先に唇を落とした。


「優しくしてね?」


 にっこりと妖しく笑う美少年。足早に部屋へと向かった美青年に美味しく食べられましたとさ。


(犬、というより狼だよねー)


end


あなたは犬派ですか、猫派ですか



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