確かに恋だった 『お前のソレは恋じゃない』 凍えるような寒さの中、私はブランコに腰かけていた。キイ…と錆び付いた音が耳につく。空は青く高く、そしてとても遠かった。 頭の中で私は大好きな人に言われた言葉を反芻する。私は彼の生徒で、彼は私の先生で。ずっと好きだった。1年生のときから3年生になった今まで、ずっと。イベントが行われる度に先生に告白してきた。その度にフられてきたわけだけど、それでも私は諦めなかった。諦められなかった。それくらい先生のことが好きだった。 ―――でも。 今日先生は『お前のソレは恋じゃない。憧れだ』と言った。もしかしたらそうなのかもしれないとも思った。彼に憧れていたのには違いなかったから。だけどたった一言で片付けられるような生半可な想いじゃないんだ。この想い続けてきた3年間は絶対に無しになんか出来ない。だってこんなにも胸が痛い。 ねえ、先生。教えてよ。これが恋でないというのなら、一体なんだっていうの? たとえあなたが恋じゃないと言っても、それは確かに恋だった。 涙が流れた痕を冷たい風が撫ぜた。寒さにぶるりと体を震わせると、私はマフラーに顔をうずめて立ち上がった。 私はたぶん、卒業するまで先生のことを好きでいるだろう。追いかけるだろう。たとえ振り向いてくれないことをわかっていても。そして、卒業してもきっと心の片隅にあなたがいる。たまに覗いては切なさに胸を痛ませて、表面上では「初恋だった」と笑うんだろう。 「せんせいの、ばか」 鼻水が出るのは、たぶん、きっと、寒いせいだ。 end 御題サイト「確かに恋だった」様から 選択式log「確かに恋だった」を拝借しました ←|戻|→ . |