独白 幾つだって選択肢はあったよ。実際、俺は女の子と付き合ったこともあったし。でもさぁ、仕方無いだろ? 幾つも弊害はあった。親にどう話すかとか、周りの目とか。もっと、たくさんあった。 だけどさ、あいつが俺を探してくれたから。見つけ出してくれたから。仕方が無い。そう、しょうがないんだ。 あいつはさ、俺を女として見ている訳じゃないんだよ。男である俺を好きだって言い張るんだ。そんなの、絆されるに決まってるじゃん。ズルいっちゃあズルいよね。 でもさ、それでも俺も好きになっちゃったから、それこそ仕方が無い。取り返しがつかなくても、俺は決めたんだ。 それこそ自分であいつの手を取ることを。あいつの隣に立って歩くことを。 俺だってあいつだって男なわけで。迷ったよ?そりゃ俺だって心の中で大騒ぎさ。 あいつがアプローチしてくるのは置いといてさ。いや、別に置いとかなくてもいいんだけど。俺が好きだって認めたら例外なく付き合うことになるじゃん? 俺は、さ。嫌だったんだよ。あいつの将来を潰すことになるのが。女の子とエッチも出来ないし結婚も出来ない。俺の存在があいつを縛ることになるんだ。 悩まないわけないじゃん? でもさ、もう悩んでる時点で答えは出てたんだよな。結局俺はあいつを好きで、愛しちゃってるってこと。 決めたのは俺で、決めさせたのはあいつ。どっちもどっち、ってことで。とりあえず、二人で手を繋いで歩いていくんだと思う。 世の中に批判されたら海外に行く。ってあいつが口癖のごとく言う。結婚して、養子を取って。そうやって幸せな家庭を築こう、って。 俺は表面上は呆れたけどさ本当は嬉しかった。だってあいつと家族になれるだなんて夢みたいだろ?そう言うあいつも俺も毒されてる。けど幸せだったらなんだっていいんだよ。愛の逃避行でも何でもしてやる。それこそあいつの為だったら何でもするさ。 ま、あいつもそう言うだろうけどな。 おっと。 あいつが呼んでるから俺は行くな。あ?今から海外旅行に行くんだよ。別に逃避行じゃねぇって。デートだデート。むしろ新婚旅行? いや、親がさ、あまりにもあっさり納得してくれたからな。あれは拍子抜けだったわ。じゃあ俺行くな。行ってきまーっす! end ←|戻|→ . |