Grow up!6 「俺も手伝おう」 「調合は?」 確か記憶が正しければ納品期限が近かったはずだ。首を傾げてヴァンを見やる。 「1日くらいサボっても間に合う」 「本当に?」と聞き返したくなるのを寸前で堪えつつ疑いの目で見る。だが申し出はとても有り難いので受け取っておこう。じゃあ、と手に持っていた雑巾と霧吹きを押し付けた。 「これで窓を拭いてくださいね」 「ああ」 頷いたがその場を動こうとしないヴァン。自分も箒とちりとりを持って振り返ると不意に頬に柔らかい感触が。ちゅ、と可愛らしい音を立てて離れていったヴァンの唇を目撃して一気に頭が沸騰した。 「ヴァンさんっ!!」 「窓拭いてくる」 ひらりと海の箒攻撃をかわし、ヴァンは笑いながら掃除場所へと向かった。 「まったくもう…」 困った顔で箒を持ち直す。頬をほんのり桃色に染めつつ掃き始める海であった。 * (あ) (<あ>) (しーるーふーさーんー?) (<お、怒ってる?>) (…明日には戻してくださいよ。はい) (<勿論戻すわ。なぁに、これ>) (これで調合室掃除してきてください) (<えー、私が?>) (シルフさん?) (<い、行ってきまーす!>) *** 以上、海が青年になった御話でした。精霊達は悪戯大好きです。 ヴァンさんはああ見えて内心理性が切れてしまわないかドキドキです。海はあっけらかんとしていますね。 子供じゃない分冷めているような感じもしますが…。これが海のスタンスです! あえて掃除に走るところが日常生活を思わせますね(笑) リクエストありがとうございました! ←|戻|→ . |