Grow up!5 | ナノ

Grow up! 5












「…愉快犯」
「だな」


 ポツリと漏らした言葉に同意された。テーブルにうなだれた状態で目だけでヴァンを捉えた。しかし彼は相変わらずなイケメンな顔を崩さずに笑っている。


「…ヴァンさん」
「ん?」
「笑ってます」
「ああ、悪い悪い」


 絶対思ってないでしょ、と内心で嘆息する。謝ったが笑みを浮かべたままの彼をジトリ、睨む。
 まあでも1日経てば戻るんだから楽しんだ方が得策かな。そう思って海は椅子から立ち上がった。


「どうした?」
「掃除します。これならきっと高いところも届くので」


 子供の時には身長が足りずに諦めていた場所も、今なら念入りに出来る。早速服を汚さないようにとエプロンを身に付けるが、少し小さい。別にいいか、とスルーしてそのまま掃除用具を手に取る。


「…新妻?」
「誰がですか。僕は男ですよ」


 ヴァンの呟きに呆れた声で返した。「知ってる」とすぐさま返されたが、本当にわかっているのだろうか。中性的な容姿なのは重々承知なので、きっと女装しても問題なく似合うだろう。と他人事のように考える海。男のプライドはあるからしないけれど。



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