2011 ホワイトデー 黒猫の散歩道 宮緒は悩んでいた。先月のバレンタインに新に逆チョコを貰った宮緒は、ホワイトデーにお返しをするべく、しかし何が良いのか分からずに悩んでいた。 「…近江さん」 「ん?どうかしたか?」 こういう時は付き合いの長い秋に聞くべきだろう、と宮緒は秋の元へと尋ねて来ていた。珍しく名指しされた秋は何の用か、と聞く。 「…ホワイトデーの」 「ああ、真瀬に逆チョコされたんだっけ。で、返しは何がいいかって?」 「うん」 コクリと頷く宮緒に秋は考え込む。 「とりあえず、真瀬は甘い物は苦手だからな。菓子系統は無理だろうな」 「そうなんだ」 「ああ。まぁ新谷が作ったやつなら食いそうだけどなー」 秋の予想はあながち間違ってはいなさそうだ。宮緒はふぅん、と頷く。 「あれじゃね?新谷をプレゼントしたら喜ぶんじゃねぇか?」 「おれを?」 キョトリと瞬きをする宮緒に秋はニヤリと悪巧みを考えている顔で笑った。 「っつーか俺、真瀬の視線で殺されそうなんだけどな」 「………?」 「いやぁ嫉妬は怖いねぇ。あんな奴だったなんて知らなかった」 新に嫉妬の視線を受けながら優しげに笑う秋を、宮緒は不思議そうに見上げる。 「ま、とりあえず」 秋はまた企んだ顔で笑い、宮緒に入れ知恵をする。その後新に嫉妬で襲われた宮緒は秋に言われた通り忠実に再現し、新に精根尽き果てるまで攻められることに気づかない。気づいているのは秋、ただ一人。 「親友の恋は応援しなきゃなー」 俺にノロケられても困るし。秋は鼻歌を口ずさむのだった。 end ←|戻|→ . |