2011 ホワイトデー 平和を望む ふわりふわりと漂う意識の中で、俺は近くにある温もりに擦り寄った。頭上でクツリと一つ笑う声が聞こえたと思うと、体を抱き寄せられる。肌と肌が重なって、その人肌と彼の香りに安心して息を吐き出す。 「甘えん坊か?」 珍しい、とポツリと呟かれた言葉は俺と雷先輩しかいない部屋に響いて消えた。俺はゆっくりと目を開けて先輩を見上げる。 「…たまには、いいじゃないですか」 俺の言葉にそうだな、と笑って額にキスを落とされた。くすぐったさに身を捩る。 「変わったな」 「?何がですか?」 「日付」 単語だけ言い切った雷先輩につられて俺は時計を見た。確かに24時を丁度過ぎたところ。 「一番は俺でいい」 よく分からないままに唇を奪われた。クラクラとする意識の中、首を傾げる。 「―――バレンタインのお返しに俺をやるよ」 顔が赤くなるのは仕方が無い。だって (雷先輩が格好良すぎるんだ) end ←|戻|→ . |