幸せの味2 「卒業したら一緒に住もう」 先生はサラリとすごいことを言ってのけた。固まった俺はその意味を理解すると同時にじわじわと頬が火照るのを自覚した。 本気、なのだ。いつもの丁寧な口調ではないし、呼び捨てだし、そして何よりも目が真摯だ。 「…それ、プロポーズみたいに聞こえるんですが」 「プロポーズだからね」 ああ、何でそんなにサラっと言うんだ。俺に否定する理由なんてある訳がなく、小さく頷いた。 「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ」 「…断るはず無いでしょう」 「うん。ありがとう」 破顔する先生は凄く可愛かった。大好きだこの野郎。 「ノーマルの俺をオとした責任、とってもらいますからね」 「もちろん。俺の一生を賭けて君を愛するよ」 ああもう。この人はなんて可愛くて、誰よりも格好良いんだ。惚れたら負けとはよく言ったものだ。男のプライドを殴り捨てて彼を受け入れるくらいに愛してる。この先離してなんかやれない。もうこの人以外とは触れられない。 「政人さん、大好きです」 色々言いたいことは山ほどあるけど、これだけは伝えなければと照れながらも微笑んで言い放った。瞬間背中に柔らかいソファの感触。 え、と思う間もなく口を塞がれた。口内を愛撫されドロドロに溶かされた俺は先生を困惑しながら見る。 「せ、んせ?」 「…かわい」 目元に溜まった涙に口付けられる。もしかして此処でするのだろうか。それは断固拒否したいのだが。 「先生、ここ保健室っ!」 「そうだね」 「ここは嫌です!」 「スリルがあって面白いでしょ?」 「んあっ」 素肌を滑る男らしい骨張った手に、俺は抵抗の術を持たない。後で覚えてろ、と心中で毒づきながら与えられる刺激に身を委ねた。 end ←|戻|後書き . |