後悔はいつも隣に1 | ナノ

後悔はいつも隣に1












 闇の中で一つ、光を見つけた。だけどそれは、足元を照らすのではなくただ淡々と光っているだけ。今まで輝く光は幾度となく見てきた。だけれど、こんな光り方をするものは初めてで。興味を持った私は手を伸ばし、足踏み出したのだ。それがのちに厄介なことだと判明するのも知らず。


「―――貴方が、あの光ですか?」


 そうして歩いた先には一人の男が座っていた。俯いていた顔が、ゆっくりと持ち上がる。端整な顔立ちが、そこにはあった。


「…?」


 欠乏した表情の中で僅かに疑問を含んだ顔をした。その意図に気づいた私は言い直す。


「何も求めない、何もない、悲しい、寂しい光が見えたんです」
「その光は、貴方でしょう?」


 もう一度、聞く。沈黙が続き、興味を無くした私は踵を返した。


―――のだが。


「…なんですか」


 くん、と抵抗を感じその原因を辿る。私の服の裾に男らしい手が伸びていた。


「俺は、寂しい?」
「は?」


 意味が分からない。何を、問おうとしているのだろうか。男は無表情のまま、だが目だけは真剣に私を見上げていた。その瞳に怪訝そうに眉を寄せる私が映る。


「俺は、寂しいのか?」


 何を、言っているのだこの男は。


「そんなの、貴方にしか分からない事でしょう」


 私は人の心を読めるような、そんな超能力など持ってはいない。



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