vs.チワワ | ナノ

vs.チワワ












 まぁ、なんというか。雷先輩と俺が恋人同士であることは周知の事実なのだが、たまに俺のことを快く思っていない人に呼び出されることもあった。そしてまさに今がその状況だったりする。


「―――ちょっと聞いてるの!?」


 キャンキャン吠えるチワワに俺は心中で溜息を吐いた。目の前で吐いたなら何を言われるか分かったもんじゃない。


「もういい!やっちゃって!!」


 それって完全に悪役の台詞だと思うのは俺だけだろうか。なんてことを考えながらゾロゾロと出てきた体格の良い奴らに目を向ける。さて、と。


「最近平和すぎて体も鈍ってたし」


 やっぱ筋トレだけじゃな。実践を積まないと意味がない。


「相手、してくれんだろ?」


 ニヤリと挑発的な笑みを浮かべれば、案の定顔を真っ赤にして襲い掛かってくる。大振りすぎて隙だらけだな、と拳を避けて相手の間合いに入り込んだ。


「っしょ、」


―――ドゴッッ


 重い蹴りを入れればもろに喰らった一人とその後ろにいた奴が吹き飛ぶ。二人k.o.と。あと四人。


「テメェ!!!」


 そう睨むなよ。


「俺が悪役みたいじゃないか」


 地面に手を着いて体を持ち上げ蹴る。人間は下からの攻撃に無防備な生き物だ。また一人が倒れる。あと三人。



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