変態にはついていけない | ナノ

変態にはついていけない












「―――離してほしいんだけど」


 良は泣きそうになりながら現状から目を逸らしたくなった。逸らしたくとも出来ないこの状況に更に泣きそうになって、の永遠ループ。


「どうしてこうなった」

「どうしてって言われてもねぇ」
「坂井が悪いんだぞ?」


 いや、絶対俺は悪くない。それからそこ、勝手に靴を脱がすな靴下を脱がすな!しかし固定されて動けないという屈辱。


「太一も離せ、ぞわぞわする」
「指でも感じるようになろうよぉ」
「断固拒否する」


 太一は楽しそうに俺の指を弄っている。なんかこう、ぞわぞわして気持ち悪い。…うん、俺が悪かった。俺が悪かったから指を舐めるのはやめてくれ。


「…池田クン、何ヲシテイルノカナ?」
「耳」
「耳は分かっとるわぁぁあ!!」


 耳は食べるところじゃありません!!


「食べてない。食(ハ)んでる」
「意味同じじゃね?」
「気持ち良くねぇ?」
「話が通じないどうしよう」


 気持ち良くないから。むしろ気持ち悪いから。


「耳、性感帯だろ?」
「嗚呼お前のおかげでな」
「そうだ俺のおかげだ。感謝しろ」
「皮肉が通じない!」


 何故感謝せねばならない。逆にキレてもいいところだよね?…あれ、俺が間違ってるのか?



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