感謝 無意識 | ナノ

感謝 無意識に認めた人は、いつしか












 二人で抱きしめあったままの状態でベッドに寝そべっていた時。クスリ、と僕は唐突に笑った。それに対して劉牙は不思議そうな顔をして僕を覗き込んでくる。


「どうした?」


 甘い甘い声音に、愛されていることを知る。気にかけてくれることが嬉しくて僕は、もう一度笑った。


「ううん、別にぃ」


 クスクスと抑えられないままに零れ出た笑いに、更に劉牙は怪訝そうにした。本当に別に何もない。ただ幸せだなぁ、だなんて思っただけで。
 愛する人に愛されて、こうして肌を重ね合わせて、そうして触れられることが。どれだけ奇跡に近いか、僕は知っている。どん底にまで落とされた僕だから、それが当たり前なんかじゃないことは誰よりも知っている。
 あの日、あの時、あの場所で、彼に会わなかったなら僕はどうなっていたことだろう。ふと想像してみてゾっとする。
 それほどまでに僕は劉牙を欲しているのだと思い知らされる。劉牙がいなければ、僕は確実に壊れてしまっていただろう。


「…ありがとぉ」
「?何がだ」


 頭に「?」を浮かべる劉牙に微笑みかける。ありがとう、本当に。生まれてきてくれて。僕を見つけ出してくれて。言葉には出さないけど、ね?いつも感謝してるんだよ。


―――貴方がいてくれたから僕は此処にいるのです


end.



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