D絡めた指が愛になる1 そっと息を吐き出せば、白くなって空気に溶けていった。つられて見上げると、そこには抜けるような青い空。 ガヤガヤと賑わう人混みの中を突っ切れば、ヒラヒラとこちらに手を振る人影。恭徳は頬を緩め、大也のもとへと小走りする。寒い気温だが、体は温まっていた。上気した頬はそのままに大也を見上げた。 「お疲れさん」 「ん」 ポンポンと恭徳の頭を撫でる。心地良さそうに目を細める彼は、何も言わず頷くだけに留めた。大也も追求はせずに「行くか」とだけ声をかける。コクリと頷いて促されるままについていく。 「車?」 「いや、入試だと人が多いから電車と徒歩。駅までちょっと歩くけど平気か?」 「大丈夫。俺も歩きたい気分」 なた良かった、と大也は微笑んだ。 「…大也、」 「ん?」 話しかけると、大也は恭徳より頭一つ分大きい体を曲げて「なんだ?」と聞き返した。交わった目はとても優しい。その目に背中を押されて、勇気を振り絞る。 「手、繋ご」 思わず目を丸くする。恭徳は恥ずかしがり屋で、世間の目を気にするやめに外で恋人らしい行為は好まない。 しかし、大也が申し出を断るわけがない。すぐに笑って恭徳の手と自分の手を絡めた。当然、恭徳は頬を赤く染めて恥ずかしがるが、嬉しそうに破顔している。その可愛らしさといったらない。 「…試験の自信は?」 「ある」 「断言したな。なら、フライングだが指輪買いに行くか」 クツクツと喉を鳴らしながら提案すると、恭徳はキョトンと大也を見た。ペアリングは受験が終わってからではなかったのか。確かに試験自体は終わったが、合否はまだ分からない。恭徳は合格する気満々だが。 ←|戻|→ . |